原著
胃十二指腸潰瘍穿孔例の検討―とくに予後因子を中心に―
長畑 洋司, 裏川 公章, 香川 修司, 中山 康夫, 高田 孝好, 林 民樹, 松井 祥治, 福岡 秀治, 中本 光春, 平井 康博, 斎藤 洋一
神戸大学医学部第1外科
胃十二指腸潰瘍の穿孔は潰瘍の重篤な合併症で,現在でも10~30%の死亡率がみられる.今回私達は数室の胃十二指瘍穿孔35例の治療成績から術前診断,予後に影響する背景因子を中心に検討した.死亡症例は10例(28.6%)で,併存症を有した症例中77.8%が死亡し,併存症のない症例は全例生存したことから,伴存症の存在が最大の予後規定因子で,次に発症から手術までの経過時間,および年齢が影響すると考えられた.胃十二指腸潰瘍の急性開放性穿孔例には,迅速で適確な術前診断と早期の外科手術が必要で,手術術式は広範囲胃切除術を基本術式とするのが妥当と考える.
索引用語
胃十二指腸潰瘍穿孔, 潰瘍穿孔の診断, 潰瘍穿孔の予後因子, 広範囲胃切除術
別刷請求先
長畑 洋司 〒650 神戸市中央区楠町7丁目5-2 神戸大学医学部第1外科
受理年月日
1984年2月15日
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