原著
肝切除術の肝予備能判定に対するグルカゴン負荷テストの意義―とくにcyclic AMPの変動―
中本 実, 森永 泰良, 成瀬 勝, 柳沢 暁, 高橋 恒夫, 井出 哲也, 三穂 乙実, 長尾 房大
東京慈恵会医科大学第2外科
LC c HCCの肝切除適応基準をグルカゴン負荷により,c-AMP,BSを測定し,検討した.
正常肝機能群では負荷後10分でc-AMPが最高値を示し,平均1170.8±134.4 pmol/ml,Δc-AMP/ΔBS比では37.8となった.s-Transaminase異常群ではΔc-AMP/ΔBS比は32.1,LC群では20.1,LC c HCCでは35.8,LC c HCCでは19.4であった.LC c HCCでの広範囲肝切除生存例では30.9,死亡例では2.7と著明な差を認めた.一方,ICG 15では,生存例,死亡例との間に有意の差は認めえなかった.以上の結果,グルカゴン負荷によるc-AMP,BS測定は肝予備能を予測する上で有用であり,負荷後10分値でのc-AMPは400 pmol/ml,Δc-AMP/ΔBS比は30以上で,広範囲肝切除に耐えられると思われた.
索引用語
LC c HCC, 肝予備能, グルカゴン負荷, Δc-AMP/ΔBS比
別刷請求先
中本 実 〒105 東京都港区西新橋3-25-8 東京慈恵会医科大学第2外科
受理年月日
1984年2月15日
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