原著
大腸癌におけるCEAの臨床的意義
林 勝知, 鬼束 惇義, 矢野 好弘, 山田 直樹, 広瀬 光男, 稲田 潔, 後藤 明彦1)
岐阜大学医学部第1外科, 同 中央手術部1)
岐阜大学第1外科で最近約4年間に経験した大腸癌135例中,再発例や術前CEA測定未施行の症例を除く102例について,CEAの上昇程度と臨床および病理学的所見との関連を検討した.
CEAの上昇程度が正常,軽度,中等度の症例は,主占居部位,肉眼的および組織学的進行程度,壁深達度,組織分化度,癌の大きさ,術後経過についてとくに差を認めない.しかしCEAの上昇程度とDukes分類および肝転移とは相関を認め,そのうち60 ng/ml以上の症例はDukes Cが13/14(92.9%)ときわめて高率で,さらに肝転移が8/14(57.1%)と高かった.また肝転移を有しない6症例5例が他臓器へ浸潤しており,術後経過も累積生存率がP2=0%で著明に予後が悪かった.
索引用語
Carcinoembryonic Antigen, Dukes分類, 肝転移
別刷請求先
林 勝知 〒500 岐阜市司町40 岐阜大学医学部第1外科
受理年月日
1984年3月14日
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