原著
胃全摘術後の縫合不全の予防と対策―教室における手術成績と栄養管理の意義―
山本 政勝, 西 正晴, 權 雅憲, 細田 信道, 今林 伸康, 日置 紘士郎
関西医科大学外科学教室
昭和47年より昭和57年までの胃全摘症例169例についての手術成績と栄養管理との関連性について意義を検討した.縫合不全は21例(12.4%)に認められた.高カロリー輸液(total parenteral nutrition:以下TPN)導入以降は積極的な手術を行ってきたにもかかわらず,縫合不全の発生率は減少したのみならず,その治癒率も著明に改善された.縫合不全症例の管理としては有効なドレナージのもとに45~50 kca1/kg/日以上の高カロリー,高蛋白を投与して,血清アルブミン値を3.0 g/dl以上に保ち,同時に腹膜炎などによる耐糖能低下や,水分電解質異常をコントロールすることが重要である.また長期にわたる場合にはTPN,経腸栄養の継続にともなう代謝上の合併症出現に留意の上,慎重な管理が必要であるが,敗血症状態では経腸栄養が有効である.
索引用語
胃全摘後縫合不全, 進行胃癌患者の栄養評価, 縫合不全の栄養管理, 腹膜炎の保存的療法, 高カロリー輸液
別刷請求先
日置紘士郎 〒570 守口市文園町1 関西医科大学外科
受理年月日
1984年2月15日
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