原著
胃癌患者末梢血の線溶,凝固動態について
飯塚 保夫, 古賀 成昌, 飯島 憲司1), 中村 克己1)
鳥取大学医学部1外科, 同 中央検査部1)
胃癌患者の末梢血線溶,凝固能を測定し,主としてそのstageおよび癌組織型との関係から検討した.線溶能では,streptokinase活性化plasminがstage IVで上昇しており,FDPはstage III,IVおよびn2(+)群で上昇傾向を示し,また治癒切除群に比べ非切除群では有意に上昇していた.凝固能ではfibrinogenがstageの進行とともに上昇し,とくにn2(+)群で高値を示す傾向にあった.一方,癌組織型による末梢血線溶,凝固能の差異は認められなかった.これら末梢血線溶凝固能の変化は術前の胃癌進行程度,とくにリンパ節転移の程度の推定に役立つとともに,切除の可否を推測するうえにも有用と思われた.
索引用語
線溶凝固能, 末梢血fibrinogen, FDP, 胃癌stage, 胃癌組織型
日消外会誌 17: 1397-1402, 1984
別刷請求先
飯塚 保夫 〒683 米子市西町36-1 鳥取大学医学部第1外科
受理年月日
1984年3月14日
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