肝硬変患者の血中アルドステロン値の術後変動と，体内Na貯留におよぼす影響

小林　進, 平澤　博之, 小林　弘忠, 田畑　陽一郎, 大川　昌権, 添田　耕司, 織田　成人, 室谷　典義, 小高　通夫, 佐藤　博

千葉大学第2外科

　肝硬変患者に対する手術後，高率に発症するARDSに対し，水分貯留傾向はその発症および増悪因子として重要である．今回，これら水分電解質代謝に重要な意義をもつ血中アルドステロン値を，硬変肝群12例，非硬変肝群12例において，術前，術中，術後測定したが，硬変肝群は第5，第7病日において，非硬変肝群に比べ，有意に高値であった．その原因として，肝硬変による血中アルドステロン不活化の障害，さらに血漿レニン活性の高値が考えられた．また，尿中Na/K比は術後，硬変肝群で有意に低値であったが，カンレノ酸K投与により，有意に上昇し，カンレノ酸Kが，肝硬変患者の，術後，Na貯留および水分貯留防止に有効であることが示唆された．

索引用語
肝硬変, アルドステロン, ARDS, 尿中Na/K比, カンレノ酸K

別刷請求先
小林　進　〒280　千葉市亥鼻1-8-1　千葉大学医学部第2外科

受理年月日
1984年3月14日

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