原著
食道静脈瘤合併肝細胞癌治療の検討
中村 亮, 佐々木 寿彦, 長崎 雄二, 橋口 文智, 後藤 雅彦, 安藤 博, 中村 浩一
東京慈恵会医科大学第3分院外科学教室
教室で過去6年間に経験した食道静脈瘤合併肝細胞癌のうち両疾患に対して治療を行いえた8例について検討を加えた.
治療内容は一期的直達手術+肝切除3例,二期的直達手術+肝切除1例,直達手術+動脈塞栓療法(以下TAE)1例,直達手術+抗癌剤全身投与1例,内視鏡的硬化療法+肝動脈結紮術(以下HAL)1例,内視鏡的硬化療法+TAE 1例である.最長生存は直達手術+TAEの24カ月で,現在5例が生存中である.当疾患においてはとくに肝切除可能症例に対する術後静脈瘤破裂の予防が治療の主体となり,直達手術,シャント手術などに加えて近年内視鏡的硬化療法などの治療法が開発され,肝細胞癌,食道静脈瘤に対する治療法の選択が課題となる.
索引用語
食道静脈瘤合併肝細胞癌, 肝切除後静脈瘤破裂, 肝切除術
日消外会誌 17: 1426-1434, 1984
別刷請求先
中村 亮 〒201 狛江市和泉本町4-11-1 東京慈恵会医科大学第3病院外科
受理年月日
1984年4月11日
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