原著
慢性活動性肝炎合併例における外科手術
小野 二六一, 島山 俊夫, 指宿 一彦, 児玉 吉明, 迫田 晃郎*, 香月 武人
宮崎医科大学第1外科, *鹿児島市医師会病院
慢性活動性肝炎(CAH)合併例における手術の予後に対するCAHの影響を検討した.CAHは手術時の肝生検にて病理組織学的に診断した.胃・胆道疾患5例,門脈圧亢進症9例であった.病理組織学重症度をRappaportのZone分類にしたがい,術後の合併症との関連を検討した.術後合併症は,57%にみられ,血清GOT,GPTの上昇,高アミラーゼ血症,腹水,胸水,横隔膜下膿瘍そして肝不全などがあり,3例の死亡をみた.病変がZone 3すなわちcentrilobular areaまで及ぶ程合併症がみられる傾向にあった.門脈圧亢進症では,特にα―グロブリンの変動が著しいほど合併症の発生をみた.以上,CAH合併例では,手術に際し慎重な配慮の必要性が示唆された.
索引用語
慢性活動性肝炎, 慢性活動性肝炎合併例の術後合併症
日消外会誌 17: 1527-1531, 1984
別刷請求先
小野二六一 〒889-16 宮崎郡清武町大字木原5200 宮崎医科大学第1外科
受理年月日
1984年5月9日
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