原著
大腸手術における術後感染予防と治療法の検討―抗菌剤併用投与の効果について―
丸山 洋
東京医科歯科大学第2外科(指導:三島好雄教授)
大腸手術308例に施行された各種術前腸管処置法を比較検討した.好気性菌に対しKanamycin,Tobramycin,Polymyxin-Bのいずれかを,嫌気性菌に対しMetronidazole,Clindamycin,Tinidazoleのいずれかを投与する2剤併用群で有意(p<0.05)に術後感染は減少した.またPolymyxin-B投与後の糞便中Enterobacteriaceaeの70%,Clindamycin投与後のBacteroidaceaeの50%は耐性菌となった.一方E.coliとB.fragilisを腹腔内に感染させたラットではTobramycin,Clindamycin併用治療により死亡率が100%から40%へと低下した.これらのことより術前腸管処置には術後使用頻度の少ない抗生剤の2剤併用投与が,術後には嫌気性菌も考慮した予防的抗生剤投与が望ましいことが示唆された.
索引用語
大腸術前腸管処置法, 大腸術後感染症, 腸内細菌叢, 大腸術後化学療法
日消外会誌 17: 1566-1573, 1984
別刷請求先
丸山 洋 〒113 文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学第2外科
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