原著
大腸多発癌の背景因子ならびに臨床病理学的特徴に関する検討―とくに多発癌と単発癌の相違について―
今西 築, 多淵 芳樹, 中江 史朗, 川崎 浩史, 中村 毅, 大山 正, 瀧口 安彦, 村山 良雄, 斉藤 洋一
神戸大学医学部第1外科
過去14年間に教室で経験した大腸多発癌18例と単発癌291例を対比し,多発癌の背景因子と臨床的・病理学的な特徴について検討を加え,以下の結果と結論を得た.
同時性多発癌は14例(4.8%),異時性多発癌は4例(1.4%)であった.背景因子として,性・年齢・遺伝性素因並びにポリープ合併頻度が,癌病巣の臨床病理学的所見として,発生部位・肉眼型・深達度・組織型において多発癌と単発癌との間に生物学的な差があることを報告した.同時に大腸多発癌について臨床上の留意すべき点についても文献的な考察を加え言及した.
索引用語
大腸多発癌, 同時性多発癌, 異時性多発癌, 大腸ポリープ
日消外会誌 17: 1579-1586, 1984
別刷請求先
今西 築 〒650 神戸市中央区楠町7-5-2 神戸大学医学部第1外科
受理年月日
1984年5月9日
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