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第17巻 第9号 1984年9月 [目次] [全文 ( PDF 1054KB)]
宿題報告

胃癌の腹膜転移の成立機序とその予防対策

古賀 成昌

鳥取大学第1外科

 胃癌の腹膜転移に関し,胃漿膜面からの癌細胞の脱落,着床過程を,ヒト胃癌,実験腫瘍を用い走査電顕的に観察した.ヒト胃癌では癌細胞は胃漿膜細胞を圧排,離解,脱落せしめ,この部から活性のある癌細胞が腹腔内に脱落する過程がみられた.一方,癌漿膜浸潤例では癌着床部位である腹膜上皮細胞の離解,脱落がみられ,この部に癌が着床した初期像をとらえた.実験腫瘍(AH100B細胞)ラット腹腔内移植では,正常腹膜面にも着床し,ヒト胃癌の場合と異る所見が得られたが,着床部以外の腹膜にもヒト胃癌の場合と同様な腹膜上皮の形態学的変化がみられた.これら所見から,腹膜上皮細胞の変化は癌細胞由来の腹膜上皮細胞傷害因子の産生によることが示唆された.AH100B細胞移植ラット腹水のゲルクロマトグラフィーによる各分画のラット腹腔内注入実験から,この腹膜上皮細胞傷害因子は,低分子量の物質であることが推測された.
 癌漿膜浸潤例における上記所見に基づいて,腹膜転移防止対策として温熱,制癌剤併用による持続温熱腹膜灌流を癌漿膜浸潤陽性に施行した.その結果,非灌流群に比べ,本法施行群の術後3年生存率は有意に高率であった.このことから腹膜転移防止対策として本法の有用性が期待される.

索引用語
胃癌, 腹膜転移, 腹腔内遊離癌細胞, AH100B細胞, 持続温熱腹膜灌流

日消外会誌 17: 1665-1674, 1984

別刷請求先
古賀 成昌 〒683 米子市西町 鳥取大学医学部第1外科

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