宿題報告
消化器外科における人工腸弁の応用
里村 紀作, 花房 徹児, 田中 紘, 加藤 博明, 松川 泰広, 中元 光一, 木阪 義彦, 鄭 漢龍1), 大西 慧2)
京都大学医学部第2外科, 北野病院外科1), 和歌山赤十字病院外科2)
telescoping anastomosisおよびnon-transected muscular valve形成法によって,回盲弁に相当した機能をもった人工腸弁を作成した.この人工腸弁は一層の筋層,特に内輪筋層の肥厚がその主体をなすもので,順蠕動方向通過圧25 cmH2O以下,逆流圧40 cmH2Oの弁機能を有する.かつ臨床例では形成後10年以上も初期機能を維持することが認められた.臨床的に腸内容移送調節の目的で腸管広汎切除例7例に設置し,6例に便性状,便通の改善を認めた.逆流防止機能を期待して設置した症例は胃全摘術5例,胆道再建術10例,先天性胆道閉鎖症22例,空腸瘻,結腸瘻各1例,Whipple手術,膵嚢胞空腸吻合各2例,合計43例で,いづれにも効果が認められた.
索引用語
人工腸弁, 回盲弁, 消化管括約機構, telescoping anastomosis
日消外会誌 17: 1675-1683, 1984
別刷請求先
里村 紀作 〒606 京都市左京区聖護院川原町54 京都大学第2外科
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