原著
腹膜播種のみられる胃癌の外科治療
三輪 晃一*, 広瀬 和郎, 米村 豊, 松木 伸夫, 中川原 儀三*, 宮崎 逸夫
金沢大学医学部第2外科(*現 福井医科大学第1外科)
最近10年間の腹膜播種胃癌162症例の外科治療成績を検討した.この間,手術は胃原発巣切除だけでなく転移巣も可能なかぎり切除し,化学療法に期待する治療方針をとった.
胃原発巣切除は86例に行われ,うち22例が相対非治癒,64例が絶対非治癒であった.3カ月死亡率は,相対非治癒切除例9%,絶対非治癒切除例11%,非切除例51%で,非治癒切除術は絶対のみならず相対でも手術死亡は低かった.1年生存率は相対非治癒切除例41%,絶対非治癒切除例28%,非切除例4%で,切除例とりわけ相対非治癒切除例の予後がよかった.また,5年生存例は,P2の相対非治癒切除例に2例認めたが,絶対非治癒切除例と非切除例にはみられなかった.
索引用語
胃癌腹膜播種, 胃癌非治癒切除, reduction surgery, 胃癌補助化学療法, 胃癌腹膜播種5年生存例
日消外会誌 17: 1726-1731, 1984
別刷請求先
三輪 晃一 〒910-11 福井県吉田郡松岡町下合月23字 福井医科大学第1外科
受理年月日
1984年6月13日
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