原著
胃癌の肝転移high risk症例の臨床病理学的検討―とくにAFP産生胃癌との関連について―
高橋 豊, 磨伊 正義, 秋本 龍一, 荻野 知己, 上田 博, 北川 一雄, 北村 徳治, 沢口 潔, 分田 保寛, 上野 雅資
金沢大学がん研究所外科学教室
肝転移を合併しやすい胃癌の特徴を得るため,肝転移をともなった胃原発巣5 cm以下の6症例と5 cm以上の26症例を臨床病理学的に比較検討した.その結果,肉眼的には萎縮領域に発生した小型のBorrmann 2型を呈し,組織型的には一般にいわれている乳頭状や高分化型よりむしろ,低分化型や中分化型に多く,しかも髄様型の増殖をとるという特徴が認められた.さらに血清α-fetoprotein(AFPげやCarcinoembryonic antigen(CEA)が陽性となる症例が多く,特にAFPは6例中5例も陽性であった.この5例中3例は,酵素抗体染色により胃原発巣にAFPの局在が証明された.一方AFP産生胃癌の特徴は,上述した肝転移を合併しやすい胃癌の特徴ときわめて類似しており,非常に興味深い所見と考えられた.
索引用語
胃癌の肝転移, AFP, 髄様型未分化型胃癌
日消外会誌 17: 1732-1736, 1984
別刷請求先
高橋 豊 〒921 金沢市米泉町4-86 金沢大学がん研究所外科
受理年月日
1984年6月13日
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