原著
直径5cm以下の肝細胞癌11切除例の臨床病理学的検討
吉田 英晃, 深井 泰俊, 吉川 高志, 堀田 敦夫, 菊川 政男, 桜井 隆久, 白鳥 常男, 大石 元1), 大上 庄一1), 松尾 尚樹1), 打田 日出夫1)
奈良県立医科大学第1外科, 同 放射線科1)
腫瘍径が5 cm以下の肝癌11切除例の臨床的検討結果を報告するとともに,これら症例の腫瘍の浸潤の状態,腫瘍の組織型,非腫瘍部の病変を教室でこれまでに経験した腫瘍径5 cm以上の肝癌と腫瘍径別に病理組織学的に対比検討した.腫瘍径別の組織像は径3~5 cm,3 cm以下では全例に被膜形成があるも門脈内腫瘍塞栓は腫瘍径と関係なく75~93%に認めた.被膜への浸潤の程度も腫瘍径と関係なく50%以上の症例に認めた.腫瘍部の組織型は3 cm以下では高分化型のものが多く,肝硬変の合併は5 cm以上の60%に比べて,5 cm以下では88~100%と高率にみられた.腫瘍径が3 cm以下の肝癌でも早期癌といえる所見ではなく,さらに小型の肝癌を発見し検討する必要がある.
索引用語
肝細胞癌, 肝切除, 門脈内腫瘍塞栓, 娘結節, 肝硬変症
日消外会誌 17: 1742-1747, 1984
別刷請求先
吉田 英晃 〒634 橿原市四条町840 奈良県立医科大学第1外科
受理年月日
1984年6月13日
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