原著
大腸癌非治癒切除症例の予後
池田 孝明, 堀 雅晴, 高橋 孝
癌研附属病院外科
大腸癌は初回手術時すでに非治癒切除におわるものが,2割前後存在し,その治療について近年積極的に切除をおこない良好な成績も報告されている.しかし非治癒因子が複数の場合予後は不良である.癌研外科における単一非治癒因子のみをもつ非治癒切除症例の平均生存期間は,肝転移22.2カ月,腹膜播種21.6カ月,リンパ節転移15.2カ月,局所浸潤12.3カ月である.肝転移,腹膜播種,リンパ節転移においてこれら単一非治癒因子であった場合,reductive Surgeryの効果は十分認められる.非治癒切除病例を考える場合,血行転移をおこしやすいもの,腹膜播種をおこしやすいものなど,異なる性格をもった集合体として,とらえることが重要と思われる.
索引用語
大腸癌
日消外会誌 17: 1763-1766, 1984
別刷請求先
池田 孝明 〒891-01 鹿児島市下福元町83-4 市民病院外科
受理年月日
1984年6月13日
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