原著
直腸癌の補助化学療法としての制癌剤(5-Fu emulsion)の局所投与に関する実験的研究
林田 啓介
久留米大学第1外科(主任:掛川暉夫教授)
直腸癌手術症例のうちリンパ節転移陽性例に予後不良例が多いことから,とくに郭清困難な側方経路のリンパ節転移を標的とした,5-Fu Emulsionの仙骨前腔投与を雑種成犬を用いて実験的に試みた.加えて,直腸管腔内投与および直腸粘膜下投与と比較検討した.その結果,5-Fuのリンパ節への移行は,左結腸リンパ節では粘膜下投与群が良好であったが,鼡径リンパ節や骨盤内リンパ節である内・外腸骨リンパ節への移行は,その濃度や経時的推移からみて仙骨前腔投与群が他群に比べて良好であった.このことから,仙骨前腔投与法は直腸癌手術の際郭清が不徹底となりやすい側方リンパ節転移に対する補助療法として有用であると考えられた.
索引用語
直腸癌補助化学療法, 5-Fu Emulsion仙骨前腔投与法
日消外会誌 17: 1767-1774, 1984
別刷請求先
林田啓介 〒830 福岡県久留米市旭町67 久留米大学医学部第1外科
受理年月日
1964年6月13日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|