原著
大腸癌患者における術中腹腔細胞診の検討
加藤 知行, 近藤 三隆, 安井 健三, 加藤 王千, 落合 英一1)
愛知県がんセンター外科第3部, 耳原総合病院外科1)
腹腔内に腫瘍が存在する大腸癌症例147例について開腹直後に洗浄細胞診を行った.その結果癌細胞の陽性率は腹膜播種(以後Pと略す)・腹水ともに(+)100%,P(+)・腹水(-)58.3%,P(-)・姑息手術18.2%,P(-)・治癒手術5.5%で進行したものほどその陽性率は高かった.細胞診の結果と予後との関係をみると,姑息手術例の細胞診陽性例では53.3%に癌性腹膜炎の増悪をみたが細胞診陰性例では4.5%に癌性腹膜炎の進展をみたのみだった.治癒切除例では細胞診陰性例に腹膜再発はなく,陽性例では3例中1例ではあるが腹膜再発をみている.したがって細胞診陽性例では,姑息手術例ではその後の癌性腹膜炎が増悪し,治癒切除例では腹膜再発の危険性が高いものと考えられた.
索引用語
大腸癌の腹膜再発, 大腸癌の癌性腹膜炎, 腹腔内洗浄細胞診
日消外会誌 17: 1865-1869, 1984
別刷請求先
加藤 知行 〒464 名古屋市千種区田代町鹿子殿81-1159 愛知県がんセンター外科第3部
受理年月日
1984年7月11日
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