原著
原発性十二指腸癌7切除例の臨床的検討
近藤 哲, 蜂須賀 喜多男, 山口 晃弘, 堀 明洋, 広瀬 省吾, 深田 伸二, 宮地 正彦, 碓氷 章彦, 渡辺 英世, 石橋 宏之, 加藤 純爾, 神田 裕, 松下 昌裕, 中野 哲1), 武田 功1), 小沢 洋1)
大垣市民病院外科, 同 消化器科1)
原発性十二指腸癌7切除例を対象として臨床的検討を行った.5例はUGI,内視鏡,生検の3者で診断可能であったが,2例は膵癌の十二指腸浸潤との鑑別が困難であった.しかしUSとCTで膵癌を否定しえた.血管造影では4例中2例が十二指腸原発と確認しえた.さらに切除可能性,根治性を推定するのに有用であった.リンパ節転移は全例に認められ,非治癒切除4例中3例の非治癒因子,治癒切除後再発2例中1例の再発因子となっていた.したがって,乳頭上部癌では膵頭部癌第1群リンパ節郭清をともなう膵頭十二指腸切除を原則とし,乳頭下部癌では腸間膜根部リンパ節をより徹底郭清し状況によっては血管合併切除再建が必要と思われた.
索引用語
原発性十二指腸癌, CEA
日消外会誌 17: 1987-1995, 1984
別刷請求先
近藤 哲 〒466 名古屋市昭和区鶴舞町65 名古屋大学医学部第1外科
受理年月日
1984年7月11日
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