原著
胆石症における血中および胆管内胆汁中の胆汁酸について―特に胆道系炎症と胆汁酸に関する研究―
花井 拓美, 由良 二郎, 品川 長夫, 三宅 孝, 宮池 英夫
名古屋市立大学第1外科
胆石症46例につき従来,報告がほとんどみられない血中および胆管内胆汁酸を測定し,とくに胆道系炎症症例との関係を中心に検討した.胆汁酸の測定には3α-HSD固定化酵素を組み合せた高速液体クロマトグラフィーを使用した.成績および結論:(1)胆のう結石症例では,ビ系石に比ベコ系石症例で胆管内胆汁中のTCDCAが低下していた.(2)胆汁の流出障害が無ければ胆汁中細菌が胆汁酸組成に及ぼす影響は少ないと考えられた.(3)胆管炎を併発した総胆管結石症例では血中GCDCAの上昇,胆管内胆汁中のGCA,GCDCA,GUDCA,TUDCAの低下がみられ肝障害にともなうグリシン抱合型一次胆汁酸の排泄障害,肝におけるUDCA合成抑制,肝における器質的破綻の可能性が示唆された.
索引用語
胆石症, 胆管炎, HPLC, 血中抱合胆汁酸, 胆汁中抱合胆汁酸
日消外会誌 17: 2012-2018, 1984
別刷請求先
花井 拓美 〒467 名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄1 名古屋市立大学医学部第1外科
受理年月日
1984年7月11日
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