原著
膵管胆道合流異常の病態と治療法
松本 由朗, 藤井 秀樹, 木島 泰興, 和田 敏末, 青山 英久, 関川 敬義, 山本 正之, 江口 英雄, 菅原 克彦
山梨医科大学外科学教室第1講座
胆管と膵管の合流点が十二指腸壁外に認められる先天性総胆管拡張症ならびに正常な胆管の内腔例103例について共通する臨床症状および治療法を検討した.これらに共通する臨床像は上腹部痛ならびに背部痛であり,発作時の臨床化学的検査で急性膵障害および胆汁うっ滞型の急性肝障害が大部分の症例に,同時に認められることである.これは胆管と膵管の「共通の導管」が膵管であろうと考えられるところから,この部分に胆汁の通過などによる後天的な通過障害が生じ,胆汁,膵液の膵管内および胆管内への振子様移行現象が起り臨床症状が発生するものと考えられる.したがって胆汁をこの共通の導管部を通さない目的でのbiliary diversionが最も良好な成績であった.
索引用語
膵管胆道合流異常, 胆管と膵管の共通の導管, 急性膵障害, 胆汁うっ滞型肝障害, 胆道再建術
日消外会誌 17: 2028-2036, 1984
別刷請求先
松本 由朗 〒409-38 山梨県中巨摩郡玉穂村下河東1110 山梨医科大学第1外科
受理年月日
1984年8月13日
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