原著
骨盤内臓全摘術―とくに直腸癌に対する本術式のrelative contraindicationについて―
吉川 宣輝
国立大阪病院外科
骨盤内臓全摘術を施行した自験24例から本術式の適応と限界を検討した.retrospectiveにみると本術式適応の是非が問題となる症例も少なくなく,かかる絶対的な適応と非適応の中間にある症例をrelative contraindicationとしてその問題点を検討した.
第1はreduction surgeryとしての本術式の意義である.相対的非治癒切除とcontrol不能な局所症状がある場合には本術式の適応となる.第2は壁深達度の肉眼所見と組織所見のgapである.直腸癌19例のうち,術後組織学的に他臓器浸潤を認めなかったものが6例あった.3例は上部直腸癌の随伴炎症がDouglas窩に波及したもの,3例は下部直腸癌がperineal body付近に浸潤したものであった.術中の的確な深達度の判定によって不必要な過大手術を避けるべきである.
索引用語
骨盤内臓全摘術, relative contraindication, 骨盤内悪性腫瘍の壁深達度判定
日消外会誌 17: 2044-2050, 1984
別刷請求先
吉川 宣輝 〒540 大阪市東区法円坂町2-1 国立大阪病院外科
受理年月日
1984年8月13日
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