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第17巻 第12号 1984年12月 [目次] [全文 ( PDF 791KB)]
原著

逆追跡X線所見よりみた食道癌の発育進展形式の検討

荻野 知己, 磨伊 正義, 秋本 龍一, 上田 博, 北川 一雄, 高橋 豊, 沢口 潔, 小林 誠一郎1), 遠藤 光夫1), 山田 明義1), 井手 博子1)

金沢大学がん研究所外科, 東京女子医科大学消化器病センター外科1)

 今回,sm癌5例,mp癌2例を含む食道癌11例において,5カ月から2年2カ月にわたってその発育経過を観察しえた.これら食道癌のX線像を全体像からみて混合型,単独型,多発転移型に分けて検討したところ,単独型と多発転移型ではその腫瘍長径増大と時間の間に比例関係が見られ(平均0.24 cm/月),その形態変化や発育経過の類推が可能であったが,混合型では予測困難であった.5例の切除時深達度sm症例の逆追跡にて少なくとも7~8カ月以上はX線所見陽性状態でsm以下の癌腫が存在する可能性を示した.一方7~11カ月経過追求しえたsm癌5例の術後遠隔成績に大きな差がみられたが,これは癌の悪性度決定時期を推定する意味で興味深かった.

索引用語
食道癌の経過, 食道癌X線診断, 食道癌の逆追跡

日消外会誌 17: 2109-2117, 1984

別刷請求先
荻野 知己 〒921 金沢市米泉町4-86 金沢大学がん研究所病院外科

受理年月日
1984年10月17日

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