原著
胃切除術式の残胃癌発生プロモーションに及ぼす影響に関する実験的研究
左野 千秋, 神代 龍之介, 井口 潔, 佐々木 攻1)
九州大学医学部第2外科, 福岡歯科大学外科1)
胃切除術式の残胃癌発生プロモーションに及ぼす影響を実験的に検討するため,ラットに83 μg/ml MNNG水溶液をイニシエーションとして20週間経口摂取させたのち,各種の胃切除術を施行した.術後40週目にラットを屠殺し胃癌の発生状況を検索した.残胃癌の発生はBillroth I法21.1%,Mayo法44.0%,Roux en Y法14.3%であった.非切除群における胃癌発生率はGastrotomy群,非手術群とも81.5%であり,その残胃相当部発癌率はGastrotomy群18.5%,非手術群25.9%であった.以上のことより,十二指腸液の胃内逆流の多い胃切除術式は残胃癌発生にプロモーター作用として促進的に作用すると考えられた.
索引用語
残胃癌, 残胃発癌のプロモーション作用, 胃切除術と残胃癌, 胆汁酸, N-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine
日消外会誌 17: 2130-2136, 1984
別刷請求先
左野 千秋 〒811-51 長崎県壱岐郡郷ノ浦町本村682 壱岐公立病院外科
受理年月日
1984年10月17日
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