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第17巻 第12号 1984年12月 [目次] [全文 ( PDF 636KB)]
原著

吐血,下血を伴った胃癌症例の検討

羽生 丕, ティラウッ・クーハプレマ, 越智 邦明, 竹下 公矢, 砂川 正勝

東京医科歯科大学第1外科

 胃癌切除例のうち吐血,下血を主訴とする43例を出血群と呼び,臨床病理学的所見と治療成績について非出血群314例との比較検討を試みた.出血群では早期癌の頻度は16%で,非出血群の31%に比べて低いが(p<0.05),癌巣の大きさ,リンパ節転移,stage,脈管侵襲については差を認めなかった.出血群では胃上,中部の癌が合計82%を占め,非出血群の58%に比べて多く(p<0.01),出血群の49%に胃全摘もしくは噴切が行われている.出血のため緊急手術が行われた7例のすべてに何らかの合併症を認め,手術死亡は2例(29%)ときわめて高く,遠隔成績も不良であった.
 緊急手術の際は患者のリスクと癌の進行度を考慮し,慎重に術式を選ぶべきである.

索引用語
胃癌出血, 胃癌緊急手術

日消外会誌 17: 2137-2142, 1984

別刷請求先
羽生 丕 〒113 東京都文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学第1外科

受理年月日
1984年10月17日

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