原著
胃癌手術における脾自家移植術
小野 仁志, 佐藤 元通, 得居 和義, 藤原 志郎, 李 正男, 酒井 堅, 木村 茂
愛媛大学医学部第2外科
胃癌に対する胃全摘兼摘脾を施行した4例に対し,平均21%重量の脾自家移植により脾温存を試み以下の成績を得た.1)脾自家移植にともなう合併症は認められなかった.2)術後の脾シンチで全例に生着を確認し,移植脾による網内系貪食能が認められた.3)術後血清IgMの低下は認められず,縫合不全例では,著しい上昇を認めた.4)術後血小板は一過性に増加したが,その後術前値に復した.以上本法による胃癌手術は,癌の根治切除の原則を満たしつつ脾機能を温存するという安全で有用な術式と考えられる.
索引用語
胃癌手術, 脾自家移植, 脾温存, 摘脾
日消外会誌 17: 2150-2155, 1984
別刷請求先
小野 仁志 〒791-02 愛媛県温泉郡重信町志津川 愛媛大学医学部第2外科
受理年月日
1984年10月17日
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