原著
胃癌手術における脾摘の免疫学的意義とその問題点
内藤 和世, 田中 承男, 山岸 久一, 稲葉 征四郎, 小林 雅夫, 中山 直治, 土屋 邦之, 西本 知二, 岡 隆宏
京都府立医科大学第2外科
胃全摘,または噴門側胃切除を行った胃癌患者を非脾摘群(97例)と脾摘群(90例)にわけ,Stage別に遠隔生存率を検討した.stage I,II,IIIの5年生存率では両群間に差を認めなかったが,stage IVの3年累積生存率は非脾摘群(38例)6.3%,脾摘群(47例)20.8%となり,脾摘群の予後が有意に良好であった.さらに,stage IV P(-),H(-)症例の3生率は非脾摘群(14例)14.3%,脾摘群(17例)37.2%と,その予後に明かな差がみられた(p<0.05).ところが,脾摘群では術後早期の細胞性免疫能の低下がみられ,胃癌における脾摘の適応となる症例は進行癌でもごく限られたものであることが示唆された.
索引用語
胃癌術後遠隔成績, 脾摘, 免疫パラメーター
日消外会誌 17: 2156-2162, 1984
別刷請求先
内藤 和世 〒602 京都市上京区河原町広小路上る梶井町465 京都府立医科大学第2外科
受理年月日
1984年9月19日
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