原著
急性膵炎の病態に及ぼすエンドトキシンと補体系の影響に関する実験的研究
阿部 哲夫
横浜市立大学医学部第2外科(指導:土屋周二教授)
最近,経験した急性膵炎重症例13例中8例,61.5%にエンドトキシン(Etx)血症を認め,ショック,DIC,腎不全などを合併して6例が死亡し,剖検した3例の膵臓にShwartzman反応と類似の組織所見を認めた.実験的にEtxを用いて家兎膵臓にShwartzman反応を惹起して急性出血性壊死性膵炎を作成し,以下の結果を得た.(1)Etxの代りに生食を用いた対照に比べ血小板,血清補体価が有意に低下した.(2)膵組織にフィブリン血栓をともなう多数の出血壊死巣を認め,local DICの所見を呈した.(3)蛍光抗体法,酵素抗体法で膵壊死巣周囲に補体C3の局在を認め,この病態への補体の関与が示唆された.(4)重症膵炎臨床例でもEtxや補体系,Shwartzman反応の関与が示唆された.
索引用語
急性出血性壊死性膵炎, エンドトキシン血症, Shwartzman反応, local DIC
日消外会誌 17: 2199-2207, 1984
別刷請求先
阿部 哲夫 〒232 横浜市南区浦舟町3-46 横浜市立大学医学部第2外科
受理年月日
1984年10月17日
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