食道癌患者におけるnatural killer活性値の臨床的意義

辻　和男, 阿保　七三郎, 工藤　保, 橋本　正治, 川村　義宏

秋田大学医学部第2外科

　当教室の食道癌患者78例を対象に，切除再建手術及び免疫療法前後におけるnatural killer（NK）活性を測定し，種々の観点より検討した．その結果，食道癌患者のNK活性値は，血清アルブミン値やprognostic nutritional index（PNI）などの栄養指標と密接な相関性を有しており，OK-432による非特異的免疫療法の効果も，宿主の栄養状態によって大きく左右されることが判明した．また，術前stage IV食道癌症例のNK活性は明らかに低値を示したが，手術的治療に加え宿主の栄養状態改善を図ることにより，脆弱化したNK活性を十分回復させうることが判明した．以上の事実解明により，今後食道癌の治療成績向上の面で役立ちうるものと考えられた．

索引用語
食道癌患者のNK活性, 担癌患者の栄養状態とNK活性

別刷請求先
辻　和男　〒010　秋田市本道1-1-1　秋田大学医学部第2外科

受理年月日
1984年10月17日

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