原著
肺合併症よりみた左開胸開腹胃全摘術の安全性の検討
山田 哲司, 橋爪 泰夫, 大平 政樹, 大村 健二, 酒徳 光明, 平野 誠, 川浦 幸光, 岩 喬
金沢大学第1外科
食道下部に浸潤した胃癌に対する左開胸開腹胃全摘術は,縦隔及び胸腔内のリンパ郭清を良好なる視野の下に十分行おうとする術式である.本法は開胸操作を必要とすることから,経腹的胃全摘術に比べ肺合併症の多寡が本術式の安全性を決める重要な因子である.われわれは1972年より本術式を積極的に行ってきたが,今回当科において本術式施行76例と,経腹的胃全摘術施行67例における肺合併症の頻度を比較し,本術式の安全性に検討を加えた.
その結果,両群間の肺合併症の頻度は統計学的に有意差がなく,手術時間にも有意差を認めなかった.以上より,左開胸開腹胃全摘術は安全で,根治性の高い手術術式であると考えられた.
索引用語
左開胸開腹胃全摘術, 胃全摘後の肺合併症, 経腹的胃全摘術
別刷請求先
山田 哲司 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第1外科
受理年月日
1984年10月17日
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