原著
肝切除術後の感染に対する自己防御機構の変化とその対策―特に細網内皮系(RES)貪食能及び血中cold insoluble globulin(CIG)レベルの変化を中心に―
菅井 桂雄
千葉大学第2外科教室(主任:佐藤 博教授)
肝切除23例,一般消化器手術15例を対象とし感染症における自己防御機能低下の機序を解明し,その予防を目的とした.肝切除術後細網内皮系(RES)貪食能低下は60%に見られ,一般消化器手術群の20%に比べ有意に高率であった.RES貪食能低下例の術後感染症発生率は89%と高率であった.以上より肝切除後感染症多発の一因はRES抑制にあると考えられた.肝切除術後の血清cold insolubleglobulin(CIG)値は術前に比較し有意(p<0.01)に低下しており,CIG低下がRES貪食能抑制の一因たることが示唆された.一方,新鮮凍結血漿(FFP)投与はCIGレベルを回復及びRES貪食能を賦活せしめ肝切除術後感染症発生の予防に有効であると考えられた.
索引用語
肝切除術, 肝切除後感染症, 自己防御機構, 細網内皮系(RES)貪食能, cold insoluble globulin (CIG)
別刷請求先
菅井 桂雄 〒280 千葉市亥鼻1-8-1 千葉大学医学部第2外科
受理年月日
1984年10月17日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|