原著
肝切除前後における末梢および門脈血中総胆汁酸値測定の意義
久保 正二, 酒井 克治, 木下 博明, 広橋 一裕, 井川 澄人, 鈴木 範男, 井上 直, 山崎 修, 福嶋 康臣
大阪市立大学医学部第2外科学教室
肝細胞癌などに対する肝切除の前後に末梢血中総胆汁酸(v-TBA)値(術前73例,術後20例)および門脈血中総胆汁酸(p-TBA)値(術前34例,術後12例)を測定した.肝細胞癌の術前v-TBA値はICG 15分値,albumin,TTT,ZTT,γ-glubulin,コリンエステラーゼなどの値と相関し(γ0.05),併存する肝硬変症の程度に左右された.またp-TBA値はv-TBA値より高く,両者に相関を認めた.術後v-TBA値は術後経過良好例でも一過性の上昇をみたが,術後経過不良例では高値が持続した.またp-TBA値とv-TBA値の差をp-TBA値で除した値(CI)は肝切除後の肝機能をよく反映した.したがって肝切除前後におけるv-TBA値とp-TBA値の測定は術後の肝機能を知る上で有用であると考えられた.
索引用語
門脈血総胆汁酸, 末梢血総胆汁酸, 肝細胞癌, 肝切除
別刷請求先
久保 正二 〒545 大阪市阿倍野区旭町1-5-7 大阪市立大学医学部第2外科
受理年月日
1984年11月7日
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