原著
胃切除および選択的近位迷走神経切離術後の血中vitamin B12値の変化
山中 研
横浜市立大学第2外科(指導:土屋周二教授)
胃・十二指腸疾患症例の手術前後のVB12の吸収と代謝につきradioassay法により血中VB12値の測定を行って検討した.測定法の再現性は十分で,正常対照例151例での血中VB12値には男女差,年齢差を認めなかった.胃,十二指腸潰瘍76例,胃癌30例の手術前症例では対照との間に差を認めなかったが,胃切除後では低下し,選択的近位迷走神経切離術後は低下しなかった.経口的に補酵素型VB12を投与した後の血中VB12の上昇率をみると,手術前の胃体部進行癌症例9例,胃全摘後例6例では手術前の胃潰瘍症例7例に比べ低値を示しており(p<0.05),内因子の欠如によるVB12の吸収障害と考えられた.胃切除後や広範な胃病変を伴う症例では,血中VB12値の低下が起こることが確認された.
索引用語
vitamin B12 radioassay, vitamin B12, 血中vitamin B12値, 血中vitamin B12値上昇率, 選択的近位迷走神経切離術
別刷請求先
山中 研 〒232 横浜市南医浦舟町3-46 横浜市立大学医学部第2外科
受理年月日
1984年10月17日
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