原著
吻合部潰瘍手術例の検討
塚本 秀人, 比企 能樹, 高橋 俊毅, 蔵並 勝, 渥美 純夫, 三重野 寛喜, 榊原 譲, 阿曽 弘一, 中 英男1), 奥平 雅彦1)
北里大学外科, 同 病理1)
吻合部潰瘍手術例12例について,胃液酸度の分析と切除標本の病理組織学的検討を行い,吻合部潰瘍の成因と手術方針に関して検討した.胃液酸度は,BA0 3.49±2.34 mEq/h,MA0 9.78±6.25 mEq/hとほとんどが高酸であった.その原因は初回手術に問題があり,残胃が大きいもの6例,十二指腸断端に幽門洞が遺残するもの2例であったが,残胃に幽門腺領域が残存する例はなかった.しかし,残胃が小さく,幽門洞遺残のない症例もあり,迷走神経の関与が示唆された.手術方針としては,成因を究明してそれを解決することを先決とするが,吻合部局所の因子と完全な減酸を考えて,潰瘍を含めた吻合部の切除に迷走神経切離術を加えた手術を基本としたい.
索引用語
吻合部潰瘍, 迷走神経切離術, 胃切除術後胃液検査, 偽幽門腺化生, 吻合部潰瘍術後再発
別刷請求先
塚本 秀人 〒228 相模原市北里1-15-1 北星大学医学部外科
受理年月日
1984年11月21日
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