原著
胃上部癌に対する噴門側胃切除術の適応について―胃全摘術との比較―
小澤 正則, 杉山 譲, 三上 泰徳, 羽田 隆吉, 福島 紀雅, 望月 護, 小野 慶一
弘前大学第2外科
教室で経験した胃上部癌の切除術式を噴切26例とR2胃全摘61例とで比較し噴切の適応につき検討した.R2胃全摘において癌の占居部位による差異が明らかとなった.すなわち CE,CM 癌ではss以上の進行例がおのおの92.3%,85.2%であったが,C限局癌では m,sm 33.3%でstage Iも47.6%を占めた.またリンパ節ではCE,C限局癌の転移は(3)(4sb)に留まり,CM癌において(5)(6)に3.7%認められた.したがって5年生存率はC限局癌で胃全摘88.9%,噴切85.7%といずれも著しく良好であったが,CE癌では噴切の予後は不良であった.術後の愁訴や血液生化学検査では概ね噴切の成績が勝っていることから,C限局癌については噴切の適応を拡大すべきものと判断された.
索引用語
噴門側胃切除術, 胃全摘術, 胃上部癌, 胃癌術後成績, 胃癌リンパ節転移
別刷請求先
小澤 正則 〒036 弘前市圧府町5 弘前大学医学部第2外科
受理年月日
1984年11月21日
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