原著
肝切除におけるballoon catheterを用いた術中胆管造影の有用性
久保 正二, 酒井 克治, 木下 博明, 広橋 一裕, 松岡 修二
大阪市立大学医学部第2外科学教室
肝切除における術中胆管損傷や術後の胆汁漏を予防する目的で,silicon製balloon catheterを試作し肝癌20症例に対して術中胆管造影を行った.術中,肝切除に先だって胆嚢管より総胆管十二指腸後部にballoon catheterを挿入したのちballoonを膨張させ,肝切除前後の2回,造影を施行した.その結果,全例で肝内胆管が鮮明に描出された.このうち2例では肝切除前に肝門部胆管の走行異常が認められたため,肝切除に際し胆管損傷を予防しえた.また2例では肝切除後切離面からの造影剤の漏出が認められたため同部の縫合閉鎖が施され,術後の胆汁漏が防止された.なお本法による合併症はみられなかった.
索引用語
肝切除, 術中胆管造影, balloon catheter, 胆管損傷, 胆汁漏
別刷請求先
久保 正二 〒545 大阪市阿倍野区旭町1-5-7 大阪市立大学医学部第2外科
受理年月日
1984年11月21日
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