原著
原発性肝癌(腫瘍径5 cm以下)の診断および治療上の問題点
佐野 秀一, 中西 昌美, 渡辺 修一, 斉木 功, 今野 哲朗, 川村 明夫, 内野 純一
北海道大学医学部第1外科
腫瘍最大径5 cm以下の肝癌早期症例30例について,とくに根治性の面から検討し次の知見をえた.1)TW因子が根治性に最も強く関与し,IM1でも縮小切除で根治性が十分期待しうる.2)腫瘍径3 cm以下では切除術式に関係なく再発率は低いが,3 cm以上になると縮小切除では再現率が36%と広汎切除に比し根治性が低い.3)3.8日を境としたAFP半減期は再発予知の指標として有用と思われる.4)累積生存率は1年で72.3%,2年,3年,4年で67.2%,5年で44.8%である.5)腫瘍後3 cm以上の肝癌に対しては,脈管侵襲に留意した切除や術後の選択的化学療法の付加などの進行癌に準じた集学的な治療体系が必要とされる.
索引用語
原発性肝癌早期症例, 肝癌早期診断, 肝癌根治性, 肝縮小切除, AFP半減期
別刷請求先
佐野 秀一 〒060 札幌市北区北15条西7丁目 北海道大学医学部第1外科
受理年月日
1984年12月12日
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