原著
膵頭十二指腸領域癌切除例の臨床病理学的研究―膵管,胆管の狭窄・拡張に及ぼす癌間質反応の影響―
東 宗徳, 信田 重光, 山田 喬1), 室久 敏三郎2)
獨協医科大学第1外科, 同 第1病理1), 県西部浜松医療センター外科2)
外科的に切除された膵頭部癌15例,膵内胆管癌5例,乳頭部癌9例について,主として全割切片より癌の間質反応を3群に分けて,これがそれぞれの主たる導管に与える影響を中心に検討した.癌の間質反応の豊かな群では,膵頭部癌が88.8%(9/11例)と多く,比較的小型で(平均3.5 cm)あり,81.8%(9/11例)に膵・胆管の狭窄・拡張をきたし,60.0%(6/10)に膵管の変位を認めた.狭窄の主体は導管周囲での強い間質反応を伴う癌浸潤であった.癌の管外増殖はしばしば間質反応と密接な関係があり,膵・胆管の狭窄・拡張,膵管の変位は腫瘍細胞そのものの増殖による圧排,破壊によるが,これよりも反応性に増殖した間質とその瘢痕収縮により起るものと推定した.
索引用語
膵頭部癌, 膵内胆管癌, 十二指腸乳頭部癌, 癌間質反応, 膵・胆管狭窄・拡張
別刷請求先
東 宗徳 〒321-02 栃木県下都賀郡壬生町北小林880番地
受理年月日
1984年12月12日
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