原著
腫瘍マーカーを用いた肝転移巣の発育速度とその臨床的意義
高橋 豊, 磨伊 正義, 秋本 龍一, 草間 悟1)
金沢大学がん研究所外科, 昭和大学附属豊洲病院1)
胃癌18例と大腸癌10例の肝転移巣の発育速度を,AFPとCEAの二つの腫瘍マーカーを用いて検討した.腫瘍マーカーの増加により求められたダブリングタイムは,画像診断や腫瘍マーカー間で比較してほとんど差異がなく,その平均値は胃癌24.7±11.9日,大腸癌68.2±33.4日で,胃癌は大腸癌の約2分の1であった.このダグブリングタイムに関わる因子を臨床病理的観点より検討した結果胃癌,大腸癌ともに女性は男性より有意に発育速度が速いことが示された.さらに個々の症例のダブリングタイム(X)と生存期間(Y)との相関を求めたところ,Y=0.45X-0.58で示される有意の相関関係が見られた.
索引用語
胃癌肝転移, 大腸癌肝転移, 発育速度(ダブリングタイム), 腫瘍マーカー, 癌の時間学
別刷請求先
高橋 豊 〒921 金沢市米泉町4-86 金沢大学がん研究所
受理年月日
1985年1月16日
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