肝細胞癌症例の血清immunosuppressive acidic protein値の検討

土屋　邦之, 田中　承男, 弘中　武, 稲葉　征四郎, 山岸　久一, 内藤　和世, 園山　輝久, 鴻巣　寛, 小林　雅夫, 野中　雅彦, 塚本　賢治, 糸井　啓純, 宇根　郁夫, 浜田　春樹, 笠次　敏彦, 岡　隆宏

京都府立医科大学第2外科

　肝細胞癌例の術前immunosuppressive acidic protein（IAP）値は健常人に比べ有意に低値となった．この原因は高率に併存した肝硬変によると考え，肝細胞癌33例について，種々の検査値ならびに肝予備能判定の重回帰式（Y'）と術前IAP値との相関を検討した．IAP値と有意の相関を認めたものは，肝硬変の進行に伴い変化する検査であり，肝予備能低下に伴いIAPは低値となると思われた．血清添加によるリンパ球幼若化抑制を検討したところ，幼若化阻止率は，非肝硬変血清ではIAP値と有意の正の相関を認めたが，肝細胞癌血清ではIAP値とは相関せずに肝予備能判定式（Y'）と有意の相関を認め，肝予備能低下に伴い血清のリンパ球幼若化抑制活性が上昇すると思われた．

索引用語
免疫抑制因子, 肝細胞癌, 肝硬変, immunosuppressive acidic protein

別刷請求先
土屋　邦之　〒602　京都市上京区河原町広小路梶井町465　京都府立医科大学第2外科

受理年月日
1985年1月16日

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