原著
膵癌における腫瘍マーカーcarcinoembryonic antigenおよびCA19-9の免疫組織学的検討
植松 武史, 浅野 武秀, 落合 武徳, 林 良輔, 永田 松夫, 榎本 和夫, 軍司 祥雄, 中島 一彰, 花岡 明宏, 山本 義一, 竜 崇正, 碓井 貞仁, 磯野 可一, 小高 通夫, 佐藤 博, 堀江 弘1)
千葉大学第2外科, 千葉大学第1病理1)
膵癌組織における腫瘍マーカーCEA及びCA19-9の局在を酵素抗体法を用い染色,検索しこれら腫瘍マーカーの膵癌診断における有用性について検討した.対象は膵癌組織23例,他疾患膵組織32例である.抗CEAポリクローナル抗体による検索では膵癌組織65.2%,他疾患膵組織では56.2%がCEA陽性であった.抗CEAモノクローナル抗体による検索では膵癌組織の87%,他疾患膵組織の43.8%がCEA陽性であった.抗CA19-9モノクローナル抗体による検索では膵癌組織の82.6%,他疾患膵組織の56.2%がCA19-9陽性であった.以上の結果からCEA及びCA19-9の膵癌特異性は充分ではなく,これら腫瘍マーカーを膵癌の確定診断に用いようとする試みは満足すべき結果は得られないものと考えられた.
索引用語
膵癌のCEA, 膵癌CA19-9, 酵素抗体法
別刷請求先
植松 武史 〒280 千葉市亥鼻1-8-1 千葉大学医学部第2外科
受理年月日
1985年1月16日
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