原著
胸部食道手術における片肺換気―可動性ブロッカー付気管内チューブの使用経験―
杉原 隆, 幕内 博康, 佐々木 哲二, 田島 知郎, 三富 利夫, 山崎 陽之介1)
東海大学第2外科, 同 麻酔科1)
可動性ブロッカー付気管内チューブ(ユニベントチューブ)による片肺換気を32例の胸部食道手術に応用した.本チューブは挿管及び気管支ブロックの操作が比較的容易にでき,開胸側の肺を虚脱することにより,十分広い術野が得られ手術操作が容易となった.FiO2は通常0.5以上とし,1例を除いてPaO2を90 mmHg以上に維持しえた.肺シャント率は片肺換気時に平均25.3%にまで上昇したが,ブロックを解除後は前値に復し,またブロックによる心係数への影響は認めなかった.術後の肺合併症の発生は片肺換気施行例ではむしろ少なかった.ユニベントチューブによる片肺換気は,操作が容易で安全に施行でき,胸部食道手術に有用である.
索引用語
食道癌, 胸部食道の麻酔, 片肺麻酔, 気管支ブロック, 片肺換気
日消外会誌 18: 1595-1599, 1985
別刷請求先
杉原 隆 〒259-11 伊勢原市望星台 東海大学医学部第2外科
受理年月日
1985年4月17日
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