原著
肝硬変併存肝細胞癌に対する肝切除術の意義
木南 義男, 宮崎 逸夫1), 泉 良平1)
金沢医科大学第2外科, 金沢大学医学部第2外科1)
過去21年間に著者らの施設において肝硬変併存肝細胞癌63例が多彩な治療を受けた.そのうち肝切除術を受けた35例は腫瘍径5 cm以下の小腫瘍例と5 cm以上の非小腫瘍例とに分けられ,その手術成績が検討された.両者間に平均年齢の差をみたが,病悩期間や臨床検査成績に違いを認めなかった.肝切除率は非小腫瘍例の41%に対し小腫瘍例が89%と有意に高率であった.しかし,1カ月以内の手術死亡率は14%で,腫瘍径による差がなかった.組織学的検査は腫瘍径3 cm以上例がすでに進行癌の所見を有することを示した.非小腫瘍例と小腫瘍例の累積3年生存率はおのおの0%と53%であり,両者間に有意差をみた.以上の成績は,硬変併存肝癌の治療として小腫瘍例に対する肝切除が有益なことを示唆した.
索引用語
肝細胞癌, 肝硬変症, 小肝癌, 肝部分切除術
日消外会誌 18: 1659-1663, 1985
別刷請求先
木南 義男 〒920-02 石川県河北郡内灘町大学1-1 金沢医科大学第2外科
受理年月日
1985年4月17日
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