原著
膵疾患の超音波所見の検討
奥山 伸男, 木下 雅道, 武田 明芳, 宅間 哲雄, 金親 正敏, 鈴木 茂, 鶴見 清彦
東邦大学医学部第3外科
膵癌,慢性膵炎,急性膵炎の超音波像の同じ所見における出現率を比較検討した.対象は膵癌15症例,慢性膵炎14症例,急性膵炎9症例である.膵癌に高頻度に現れる所見は辺縁の不整,腫瘤部の低エコー,総胆管拡張,限局性腫大,腫瘤部エコースポットの不均一性,肝管,膵管の拡張であった.出現頻度は少ないが,他の膵疾患にない膵周囲血管,リンパ節の異常,膵後方エコーの減弱も重要な所見と考える.慢性膵炎に高頻度に現れる所見はspotty echo(不均一な点状,斑状エコーの増強),辺縁の不整,低エコーであり,出現頻度は少ないが膵の萎縮,膵石エコーも重要な所見と考える.軽症例においては必ずしも種々の異常所見を呈さないことがわかった.急性膵炎に高頻度に現れる所見は,びまん性腫大,低エコー,エコースポットの不均一性であった.
索引用語
膵疾患の超音波所見
日消外会誌 18: 1693-1698, 1985
別刷請求先
奥山 伸男 〒153 目黒区大橋2-17-6 東邦大学医学部第3外科
受理年月日
1985年4月17日
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