原著
内視鏡的超音波検査による食道癌壁深達度,リンパ節転移診断の臨床的研究
久米川 啓
東京女子医科大学消化器病センター外科
食道癌109例に対し内視鏡的超音波検査を行い,癌の深達度および縦隔リンパ節転移について検討した.正常食道壁は切除標本による基礎的検討では5~7層に,臨床例では3~5層に描出された.癌部は低エコー像となり,その範囲は層構造の破壊領域と一致するため深達度診断は可能で正診率は81%であった.縦隔リンパ節の存在は長径3 mmより診断可能で転移リンパ節の診断基準を,(1)長径が10 mm以上で長径対短経が2:1より円形に近いもの,(2)長径が5~10 mmでは円形に近いもので,(a)集簇するもの,(b)腫瘤に接するもの,(c)辺縁が鮮明なものを転移陽性とすると,転移リンパ節の正診率は87%であった.本検査法は食道癌の診断に非常に有効な検査法であると考えられた.
索引用語
内視鏡的超音波検査(EUS), 縦隔超音波検査, EUSによる食道癌の深達度診断, EUSによる縦隔内転移リンパ節診断
日消外会誌 18: 1774-1783, 1985
別刷請求先
久米川 啓 〒162 新宿区市ケ谷河田町10 東京女子医科大学消化器病センター外科
受理年月日
1985年4月17日
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