原著
ファーター乳頭部癌の進展と予後,および進展度診断について
和賀井 和栄, 松本 文夫, 前川 武男, 中川 浩之, 小出 真, 桜井 秀樹, 松本 俊彦, 林田 康男, 渡部 脩
順天堂大学第1外科
乳頭部癌18例の病理所見を検索し予後との関係,進展度診断の可能性を検討した.進展度はd(+)70.6%,panc(+)29.4%,n(+)29.4%,stage I 23.5%,stage II 47%,stage II1 29.5%であった.進展経路は十二指腸壁から膵への連続進展が主であるが,胆管壁転移からの膵浸潤の1例もあった.肉眼型では規約分類の順に進展度が高くなっていた.予後はstage I症例に5年生存が,d1例,stageII例に3年生存があったが,panc(+)例,n(+)例,stage III例では3年生存も稀であった.進展度診断は胆管像の形態(不完全閉塞型,完全閉塞型,その亜型),血管の異常像,内視鏡所見からある程度可能であり,さらに胆管像の水滴型,内視鏡のポリープ型から早期診断の可能性も示唆された.
索引用語
ファーター乳頭部癌, ファーター乳頭部癌の進展度
日消外会誌 18: 1831-1841, 1985
別刷請求先
和歌井和栄 〒113 文京区本郷2-1-1 順天堂大学医学部第1外科
受理年月日
1985年5月15日
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