会長講演
直腸癌の外科治療に対する考察
土屋 周二
横浜市立大学第2外科
自験直腸進行癌の治癒手術例382例の累積5年生存率は全体で59.4%,Dukes Aでは100%,Bでは74.2%,Cでは40.1%であった.側方郭情を伴ういわゆる拡大郭清施行例は通常郭清例より生存率が高く,とくに下部直腸癌でリンパ節転移陽性のもので大きな差があった.拡大郭情ではリンパ節の郭情以外に病巣周辺の広範囲切除も行われることがその理由と考えられた.
他臓器合併切除は腟後壁切除以外には効果が少く,骨盤内臓全摘術では比較的良い成績が得られた.
また骨盤内自律神経を確認し温存する手術も,機能保持上極めて有効で,根治性についても満足できる症例が少なくないと思われた.
索引用語
直腸癌の外科治療, 直腸癌のリンパ節郭清, 直腸癌の拡大郭清, 直腸癌に対する骨盤内臓全摘術, 直腸癌の自律神経温存手術
日消外会誌 18: 1923-1932, 1985
別刷請求先
土屋 周二 〒232 横浜市南区浦舟町3-46 横浜市立大学医学部第2外科
受理年月日
1985年6月19日
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