宿題報告
切除不能肝癌に対するtargeting cancer chemotherapyの研究
藤本 茂
千葉大学医学部第1外科
切除不能肝癌に対してtargeting chemotherapyを行うためにmitomycin C(MMC)を5%の割合で含有する小球体を作成した.小球体はin vitroで72時間に合有するMMCの20%を放出し,VX-2腫瘍移植(右下肢)家兎の右大腿動脈にMMC小球体を投与した場合,VX-2組織のMMC濃度は市販MMCの10~20倍であり,VX-2腫瘍は約3週間後に完全に消失したが,市販MMC投与では腫瘍縮小は見られなかった.大腸癌由来の切除不能肝転移6例に対するMMC小球体を用いたtargeting chemotherapyにより,CEAは26.1±12.9 ng/ml→8.0±4.6 ng/mlへと下降し14.8±7.1月間生存したのに対し,従来の肝動注療法ではCEAの下降は30.5±8.3 ng/ml→21.9±9.0 ng/mlであり,平均生存期間は8.3±2.7月であった.MMC小球体を用いた標的指向化学療法の副作用は一過性であった.
索引用語
targeting cancer chemotherapy, 切除不能肝癌, mitomycin C小球体
日消外会誌 18: 1933-1940, 1985
別刷請求先
藤本 茂 〒280 千葉市亥鼻1-8-1 千葉大学医学部第1外科
受理年月日
1985年5月15日
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