原著
肝硬変と胃・十二指腸病変―特に胃酸分泌動態を中心に―
松井 祥治, 裏川 公章, 長畑 洋司, 林 民樹, 平井 康博, 中本 光春, 福岡 秀治, 熊谷 仁人, 中山 康夫, 香川 修司, 高田 孝好, 高瀬 信明, 斉藤 洋一
神戸大学医学部第1外科
1973年より1984年6月末までに当教室へ入院した肝硬変201例中42例(20.9%)に潰瘍合併を認めた.潰瘍合併群の胃酸分泌は非合併群よりも有意な差を認めないものの高い傾向を示した.しかしグリシン負荷によるガストリン値,セクレチン値には非合併群と差はなかった.食道胃静脈瘤陽性群の潰瘍合併率は26.7%と静脈瘤陰性群の14.6%よりも高率で,しかも静脈瘤のgradeの悪化に従って潰瘍合併率は上昇した.また静脈瘤の有無およびその程度と胃酸分泌,ガストリン値,セクレチン値には差を認めなかった.
索引用語
肝硬変, 消化性潰瘍, 胃酸分泌, 食道胃静脈瘤, 肝機能障害
日消外会誌 18: 2017-2025, 1985
別刷請求先
松井 祥治 〒650 神戸市中央区楠町7-5-2 神戸大学医学部第1外科
受理年月日
1985年5月15日
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