原著
膵炎症例における消化性潰瘍の合併
裏川 公章, 長畑 洋司, 高田 孝好, 林 民樹, 中山 康夫, 香川 修司, 福岡 秀治, 平井 康博, 松井 祥治, 中本 光春, 熊谷 仁人, 斉藤 洋一
神戸大学医学部第1外科教室
慢性膵炎手術46例を対象として,膵内外分泌能と酸分泌能を対比し,さらに潰瘍成因について防御因子の面より粘膜ウロン酸を測定した.潰瘍合併率は30.6%と高率であったが,MAOは正酸から低酸を示すのがほとんどで,潰瘍合併例のMAOは非合併例よりも低値を示す症例が多かった.P-S試験,OGTT insulinogenic indexを指標として,膵内外分泌障害の程度とMAO,ガストリンを比較したが相関はなかった.胃粘膜ウロン酸量は胃潰瘍例と似た値を示し,防御能の低下が示唆された.潰瘍合併例に対する術式は潰瘍を含む胃切除を基本とし,迷切術の併用は胃防御能を低下することから好ま しくないと思われた.
索引用語
慢性膵炎と潰瘍合併, 膵内外分泌障害, 胃液酸度
日消外会誌 18: 2041-2048, 1985
別刷請求先
裏川 公章 〒650 神戸市中央区楠町7-5-2 神戸大学医学部第1外科
受理年月日
1985年5月15日
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